第9章・「寶」
序章「天印への旅立ち」から、早6年。ペンを取ってから今日
までの航海は、言葉に尽くせぬ、波乱万丈の日々でした。
振りかえれば「寶」アポロと巡り会ってから、瞬く間に12年の歳
月が経ちました。
この中国五千年の歴史、漢大宇宙”太極圏”への航海は、獅子ア
ポロ「寶」を、堂々掲げ、今、東洋文化の「寶」を満載して最後の
舵を切りました。天地に張った「大和」の帆を降ろし苦闘の日々を
春風と共にたたむ・・・・。
安堵が五体を潤し揺るぎない確信が生気と化す。
今、大地に膝まずき北天を拝し、先祖と懐かしき”寶の人達”に
深い深い謝意を表し、航海の報告を謹んで呈するものです。
この中国文化の「寶」は唐代の歴史に符号し『大漢和』に載る神
・道・印・寶・王者の真理、全ての事柄に”完璧”に合致するもの
です。
<結論>
☆ 天印「寶」は中国・唐代・天寶・唐朝の神噐「承天の大寶」で
ある。
★ 神噐・天印「寶」制作を命じたのは大唐の玄宗皇帝である。
☆ 天文学的確立の奇跡の印文を考案し上奏したのは、道教茅山派
12代宗師、司馬承禎である。
★ 「寶」の印材は、陶磁器制作の過程で中国史上初めて開発され
た磁器、唐白磁でメードイン・チャイナの原点である。
☆ 712年「太極」の年号より「寶」制作の準備は始まり、開始は璽
を 「寶」に改称した718年で、完成は年号を瑞兆改元した天寶742
年である。
制作期間は準備期間を入れ約30年の 歳月をかけた奇跡の陶磁器
である。
★ 神噐「寶」安置場所は洛陽、北ぼう山「玄元皇帝廟」、又の呼称
は 「太微宮」である。
☆ 玄宗皇帝が泰山封禅の儀式で天に上奏した秘密の文句は、この天印
「寶」の印文である。
★ 安史の乱で杜甫が詠み安禄山が奪った神噐は、太極「寶」である。
☆ 史思明が大燕皇帝と天下に宣言し、天下の覇者たるを通達した記念
銅貨の 銭文は神噐 「寶」を指す。
★ 今日、故宮の王座左右に鎮座する「天子諌言」の獅子、及び東洋文
化圏に 広く伝承する
獅子信仰は、中国・隋唐の頃よりシルク・ロードを経て現れた獅子で
あるが、 現代まで伝わる
その源は玄宗、唐朝のシンボル天印「寶」の白澤、白獅子である。
☆ 「寶」は伝説の噐「方円の噐」である。
★ 開元から天寶に改めた瑞祥改元は神噐「寶」の完成である。
☆ 「寶」は極大極小の「太極」宇宙を創造したのである。
☆ 『大漢和辞典』最終最大画数の,、の二文字は「寶」創造により
生まれた承禎文字
である。
☆ 唐代「太極」「開元」「天寶」の年号は全て神噐「寶」に因むもので
本書の獅子の陶印「寶」は『大漢和辞典』に戴く「寶」である。
「寶」航海誌を手に、吐息が白く尾を引く寒気の中、プラタナスが
夜の影をおとすいつもの散歩道を行く。
「月」明かりが川面に早春の色を映す欄干に一人たたずみ夜空を見上げ
満天の 星々を無心で追う。そして一時の無限の時の中で一際光る星
の”呟き”に天印「寶」の広大な大宇宙その神知を改めて知らされ航海
の終わりをしったの であります。
約1300年前、この印文を創造した偉大な哲学者・司馬承禎は、
この果てしない大宇宙を天印「寶」九文字 に封じ込め、今日のビック・
バン量子宇宙をすでに観つめていたのであります。
その量子宇宙、原子核を創造する為、名も知れぬ陶工集団は24年間、
奇跡を、ただひたすら信じ焼き続けたのです。
おわりにあたり、本書は純粋な学術書ではありません。またその任でも
ありません。
しかしながら、多くの方々のお力添えにより、「寶」の本質、隠された壮
大な歴史の真実、その ”大本”だけは間違いなく証明したと断言するもの
であります。
歴史は未来を観る座標軸、文化は人類共有の財産であります。
身を挺し全力を尽くしました。
こののちは全て天命に委ねるものであります。
−完−