1章2・天地人三彩の秘密

古来より道教及び天子の思想の中に、三才と言う「天」「地」「人」に代表される有名な

言葉が有ります。

印面は「地」に配当される所で、中国の大地を連想させる黄河、黄土、黄砂の色が用いられ

ています。この「黄」の色は、「皇帝」を象徴する色であり、序章で話した、道教の開祖とさ

れる二聖の一人「黄帝」象徴の色です。

印の側面は「人」を思わせる淡い人肌色であり、神仙が降臨する霊山及び神雲と、その空間の色を

彷彿させる、微妙なる人肌色を配当しています。

紐の獅子の色は、「天」に配当される「白」の

色であります。この白い獅子は、中国では
古来よ

り「白澤」と呼ぶ神獣を表します。又、神仙であ

り道教の開祖でもある「老子」を象徴する色です。

改めて
全体を見ると、白の色を基調とし「天」「地」

「人」をイメージさせる微妙な三色で焼き上げた神噐

です。

これは皇帝が希求した永遠の命、不老不死、神仙の

願いを三彩の至玉の色に託し焼き上
げたのです。

また「地」にあたる、印面が伝説の「黄帝」象徴の

黄色であることは、当然序章「黄帝」
で述べた通り、

黄帝が天上界より地上に降臨したことを示し、制作を

命じた時の皇帝が、黄帝の再来、有徳の帝王であるこ

とを天下万民に宣言したと思われます。


さすれば、この獅子は序章で述べた「黄帝」伝説に由来する“言葉を話す神獣”獅子

「白澤」です。

これより印文「九文字」を通し、「寶」に秘めた膨大な謎を、言葉を話す獅子「白澤」が、

歴史の真実を語りかけてくれるであろう。