第1章7・漢字と画数の秘密
★全九文字 ★印文・三行体 ★中央五文字 ★「老」六画陰極 ★奇数:偶数=4:5「陽九の法」
★「上老君」の太一は16画16神 ★月界+□(一画)=14画、日界+□(一画)=14画、
合計28画は28宿 ★全画数55画は「天地の総和」
図1は「寶」の各漢字の画數を偶数は黒、奇数は白に示し各合計を計算したものです。
漢字は全部で九文字であります。この「九」の数位に付いても、本書は後で詳しく説明
しなければなりませんが、とりあえず「九」の数字はこれ以上の世界は無いと言う、無限の
数位です。序章で話した「方寸之間気象萬千」の漢字で示した大宇宙であることを先ずご
理解ください。
『大漢和』に漢字の「漢」は天の川とあります、その「九」の数位は、これ以上はない
ものですから大宇宙を示すものなのです。
古い中国の宇宙観に、陰陽と五行の思想から生まれた、図2に見られる宇宙創世を示す
「太極図」があります。
「太」とは、一説に「大」とも書き、宇宙のように、とてつもなく大きいことを指しま
す。「極」は極限で極小の意味です。即ち究極の極宇宙を簡明化し図象したものです。
神噐「寶」は、この太極宇宙を漢字で現したものです。
この太極は、とても一口に説明できるものではありません。
この「九」とか「太極」の説明が後回しになるように、漢文化五千年の哲理が印龍され
た「寶」を本書で解き明かす訳です。この為、膨大な調査と検証が要求され、推論や未検
証の言葉が先行し裏付けが後回しとなることは致し方ありません。この様に、先取り使用
する事は、本書進行上、止む終えない事でありますので、この点をあらかじめ御理解を賜
ることと致します。
本論に戻ると、この印面は「九」が示す大宇宙のパノラマであり、「極」宇宙の星座図
を漢字で象したと確定します。するとこの大宇宙の羅針盤、東西南北の方位は図1に示し
た通りです。
この大宇宙の中心には道教の神・老子のイニシャル「老」が中央、中天に配当され星座
しております。
この大星雲の巨星「老」は印両側の「日月」「陰陽」の“交合作用”によって、共に触発
され点滅し“瞬”きながら宇宙の巨大な光となって我々を導いてくれます。
さらに印の「篆刻宇宙」には陽刻の凸と陰刻の凹が、共に交感し交合作用をしておりま
す。さらに易では奇数の陽、偶数を陰と配当しており、これも「画数宇宙」で感応し交合
しています。
即ち、二重三重の強烈な“交合作用”によって光のエネルギーは極限まで増幅され、
目も眩むような「寶」の巨大な“光”を、この太極・漢大宇宙から放っているのです。
そして当然この「老」という巨大な星を中心として図1の季節の配当通りに周還し、文
字の配当が外輪より「太・日・界・勅・界・月」と「上・君」そして「老」と三重三層の
輪を作り渦巻き状に回転しながら運行しているのです。
もちろん「老」の極より放射状に、光は放たれています。
今日の現代宇宙理論はもはや、我々が住む現在の宇宙だけの一元宇宙ではなく、多重宇
宙お理論に突入していると聞きます。また、古い中国の逸話『壺天中』に見える壺の中の
宇宙にもある通り、この「寶」は「篆刻陰陽宇宙」「言葉宇宙」「画数宇宙」「漢字宇宙」、
又この章9で示す「篆刻絵画宇宙」など、計り知れない多重大宇宙を形成しております。
そして「言葉の宇宙」では、「老」の「一文字」「1陽」に対して、「太上」「君勅」
「日界」「月界」と2文字の言葉に区分けされた、各「2陰」の言葉が1陽の老の文字に
交合感応します。
また同様に「太上老君勅」5文字の「5陽」に対して、「日界」の二文字「2陰」の言葉
が交合感応し、この「言葉宇宙」を形成して“瞬”いているのです。もちろん「篆刻陰陽
宇宙」は、先に述べた「陽刻」の凸、「陰刻」の凹の印面宇宙でも交合し瞬いています。
次に中国に伝わる天の「道理」や「法則」に照らし、この漢字大宇宙を整理し観ること
とします。
(1)各々の漢字画数を左側から陰陽の順に配列し計算してみます。
「日」4「太」4「老」6「月」4は「偶数」で陰の数です。
「界」9「上」3「君」7「勅」9「界」9は「奇数」で陽の数です。
この陽と陰が「4:5」に配当された「四陰五陽」の宇宙の法則を道教では「陽九の法」と言い、
“陰陽の奥義”とされています。
これは、画数が交合する「画数宇宙」です。
(2)文字縦三行、それぞれの合計画数は、東側13画で陽、中央29画で陽、西側13
画で陽です。即ち、縦はそれぞれ全て陽で「三陽」です。ここで、この第1章の9項に載
せた、道教の最高ランクに祠られる三神「三清」の図を観ると、この三行体の篆刻で現し
た象は、正に「篆刻絵画宇宙」であります。
(3)全画数の合計は55画で、この私が唱える「漢字宇宙」を古来「天地の総和」と呼
んでいます。
注・この場合、日と月を囲む□の○は、今見たこの篆刻絵画宇宙の象形を描いたものと
して画数に数えません。しかし次の(4)で、この象形の秘められた意味が分かります。
(4)「日界」「月界」の各々縦の合計が13画で、合計すると26画です。これに日と月
に象形した円「○」一画を各々加えると28画となります。即ち、太上老君が宇宙の中央
中天に鎮座し、教勅している回りを28宿の星が周還しているのです。
以上この印面に秘めた漢字大宇宙を簡単に述べましたが、この中に、秘めてある太極の宇
宙は無限であり、ここで記すことができたのは大宇宙のほんの一部にすぎません。もし私
が立ち止まり、この印面「太極宇宙」全ての解明を試みようとしたなら、到底「寶」の宝
庫に行き着けないでしょう。今は、航路を変えて先へ進みます。
なおこの項の“中”で説明できなかった事を一つ付け加えておきます。
中央、中天、九文字の、中心は「老子」が当然、鎮座しているのでありますが、この「な
か」とはどのような意味なのか、その位置関係はどうなのか羅針盤である『大漢和』を一
応調べておく必要があります。
「中」とは「正しい心」とあります。
「中天」とは「星が子午線真上の位置で天運の盛んを示す」とあります。
「中極」とは「北極星」です。
「中央」は「天下中心」です。
「中京」は『洛陽』を指します。
この「天下の中心」と「洛陽」はすぐ次の項8「寶」安置場所に関わってきますので、
注意してください。
以上の通り、この印文には陰陽相互の交合と感応が観られ、また多重宇宙の異次元間の
交合と感応もうかがえます。印文の九文字全ては、巨大な光の集合体とも言えるものであ
り、しかも、巨大な灯台の光の様に“瞬く”印文であります。
伝説に伝わる「天書」は、黄金に輝く“光の文字”で書かれてあったと言います。正に、
この「寶」の印文こそ“天書”であり、今日まで、あらゆる学者、道士、易者などが、想
像し推考した“幻の印文”であります。
B伏義。右手に筆を、左手に
八卦図を持って描かれる
『蒼頡たちの宴』30より転載
信じられないほど驚異的な印文を上奏した創造主、この天才は八卦を画した古代の「伏
義」の再来、いやそれ以上と称えられ最高宗師として迎えられたであろう。
この「寶」の「九文字」は仏陀が流れ星を観て一瞬にして、悟りを開いたと同様“一撃”