第四章(七)『奇跡の陶磁器@』


総重量 780g

 

大阪市立美術館蓑豊館長そして西田文兆堂社長が“焼成不可能”と叫んだ「寶」です

美術雑誌や色々の美術館に足を運んだが、今日に至るも私はこのような方形で47×70

×70mmの厚手の焼き物を一点も目撃してはいません

しかも印台の中に焼成を容易にするための空洞はありません

それは手にした経験測以上のズシリとした重量でも明らかです

陶磁器の現場に詳しい中村先輩が、盲目の陶工が加わった可能性まで推論した

聞けば陶磁器は、各々の焼き物によって多少違いますが通常1割〜2割収縮すると言う

収縮するのは残留水分や空気を極限まで放出し焼き固めるからです

しかも厚さ5センチ近い方形の焼き物となれば3割前後は収縮すると想像されます

「寶」は目測で正確な方形です

高さ2m近い九谷焼や伊万里の大壷でも口周り、胴回り、高台でも35mm以上の焼き物

は殆ど見あたりません

しかも壷は円形です

「寶」は方形で円形より困難な事は素人目にも明らかです

専門書また専門家によれば磁器は約1300度で焼かれるとの事です

火入れの時の焼き物内部に、水分、空気が極微量でもあった場合、膨張と収縮の全く相反

する力が激突します

化石燃料を燃やし、水蒸気となって膨張したエネルギーがあの蒸気機関車を動かす事を想

像すれば、内部からの膨張力の凄さが理解できると思います

その膨張の力を1300度の高熱で逆に封じ込めるのです

印台六面からの収縮と内部の膨張が真正面から激突する

インフレーションとデフレーション!

“大極”宇宙創世の再現です

これだけの厚さでしかも方形は世界の陶磁史上、初めての挑戦の筈です

宇宙誕生前の質量無限大、ビックバン状態がその炎の中で、再現されるのです

印内部は完全なマグマです

太極は「太」と「極」が一つになった状態、即ち無限の大宇宙が極の方形に圧縮された状

態、ホーキング博士の質量無限大のビックバン宇宙です

この神器・太極「寶」焼成に27年の歳月を要したのです!!!!!!!

変形と爆発により、想像を絶する数量が失われた筈です

焼成不可能の言葉が現実として突きつけられる筈です

奇跡を待つしか術はありません

当時私は深い懐疑と混沌の日々の中にいました・・・・

そんなある日、私は印台の寸法を物差しで正確に測ることを思い立った

目測ではわかっていたが・・・・・

1mmの誤差が無い

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それでは信じられないこの「寶」の焼き物の更なる秘密を次項でお話しましょう

平成1936