第四章(二) 『唐白磁からの検証と照合』

 



それでは陶磁器部門に突入いたします

唐三彩はポピュラーな焼き物で中国陶磁器の好きな人なら誰でも知っています

しかし唐白磁は?!

陶磁器を基礎的勉強しておられる諸先生には常識であろう

しかし、こんな田舎では唐白磁は、まずお目にかからない!

基礎的知識が無いと言われれば一言も無い!

しかし、正直当時は知らなかった

それは致し方ないとして、その前にこの獅子の焼き物の写真を今一度良く見てください

実はこの獅子の焼き物には製作前の段階で唐代の最高アカデミーが鳩首疑議の果て不可能

な絶対条件をつけたのです

神器「寶」は、神の宝器です

そして天の子、天子は中華の皇帝です

即ちこの獅子印「寶」=神=皇帝です

神は全能であり完璧であり、絶対です

勿論、中華の天子皇帝の勅令は絶対命令なのです

それでは、その“神の条件”をまずお話いたします

 

「寶」の印が白色の唐白磁でなければならない理由は何故か

@神器「寶」の全体色は、焼きあがりが白色である事がまず絶対条件です

なぜなら「白土」とは“天下大吉”「大漢和」(後漢書、皇甫嵩傳)の色です

A神の色は、洋の東西を問わず白です

B仙人の色も白色です

C17「老子」の項で話ましたが仙人老子は「晧首」首の色が白かったと伝わります

D有徳の皇帝の時代に現れる言葉を話す神獣「白澤」獅子は、文字通り全身白色です

 

唐三彩の焼き物は、陶器ではありません

「寶」は白土、純白の白磁です

またその相前後、このような47×70×70mmの厚手の焼き物は陶器では不可能な事

は研究済みです

当時の科学者、鉱山士、道士などを総動員して中華全土の山へ白磁の陶土を探し求めたの

です

私が唐白磁を発見したのは(NO・16)図書館の「大漢和辞典」で「寶」が神・道・た

から・印章を発見し、その「寶」の記述が唐代であり、その結果「唐白磁」を発見したこ

とは既にお話いたしました

それではその白色である唐白磁の調査を報告いたします

@「新唐書」「唐国史補」に“唐の白磁は端渓の硯とともに天下に貴賎なく”用いたと言う

既に唐三彩にみられるように、彩色の焼き物の技術があるのに、何故白磁が天下に貴

賎なく出回る程焼かれたのか?!それは、27年の歳月をかけこの神器「寶」の神の白色を、

試行錯誤焼き続けたから
です

A「世界陶磁全集隋唐編」(文献14)の「盛唐の白磁」「中晩唐の白磁」「唐白磁の窯」の項の

記述に驚くべき記述が載ります

    1・中晩唐にかけ白磁が盛んになり陶磁史上ただならぬ時代であったと言う

   
2・この様な大きな変化がどの様にして起こったのか唐代陶磁史の大きな謎である

    と言う

    3・多くの研究者の努力にもかかわらずいまだ窯跡が発見されていないと言う

   
4・現時点製作地を論ずる事はできない

   
5・唐の白磁は純白の素地に艶やかな白釉がかかり、楽器にも使用された固く焼き

   しまった白磁であると言う

    また宋代白磁と異ならない磁器であると言う

まさに獅子「寶」は、純白の白釉がかかり固く焼きしまった白磁です

神器は白磁に決したのです

先学に深い敬意を表するものです

平成1932