28・文化の奇跡
 有史以来、世界中で須恵器のような初歩的焼き物から、今日の陶磁器そして一部ガラス工芸品の分野まで入れて、どれだけの器が焼かれて来たのか想像できない。
 花器や壺などの装飾、そして全国何十万の食堂・レストラン・料亭・温泉旅館で使われる焼き物の器や花器その他を別にして。1億2千万人の日本の一人当たりの平均食器は恐らく10個を下らないであろう。さすれば12億器はある。
 中国の人口が12億として、大中小2個づつ計6個の食器を所持していたとしても72億の器が生産されている事になる。
 歴史を溯りり、須恵器などの原始的時代から今日までの世界の陶磁器を推敲するに人口の移推と文化濃度の違いを勘案しても、その数はヨーロッパ・アメリカを入れなくても、やがて天文学的数値になってくる。
 「器」は我々人間生活の中で、切っても切り離せぬ生活必需品である。  それゆえ古代の人は、大自然の恵みに感謝し、その山海の恵みを“祭器”に盛り大自然の神々に捧げて来た。
 であるから、古代中国では器は神の祭器として、大切にされ、遂には神噐として特別視される、▲「鼎」などの祭器も誕生した。
 器は“うつわ”である。
 神の“うつわ”は神噐である。
 当然、神噐が神の“うつわ”であるなら森羅万象すべての“もの”が無尽蔵に入る「器」でなくてはなりません。
 神に限界があってはならぬし、神に受け入れられぬ物があってはならない。 例え、三角・丸・四角であっても、そして毒を含んだ食べ物であっても、邪悪なものであっても・・・形ある物・形の無い物、そして全ての人々を抱擁する器でなくてはならない。
 古代中国では、器の総称を“道具”と称した。
 「道具」とは、道の具・即ち“道”を具現化したものである。
 道とは道教の道であり、唐代開祖と崇められた「老子」が説く▲道でもある。道の大・「大道」は“太極”であり、太極の器は、混沌の器です。   そしてそれは伝説の器、「方円の器」であります。
 「大和」★(14)『方円の器』で解説した通り、神噐・太極「寶」はこの▲『老子・五千言』第八章および40章から想像された、方も円も形ある全てのものを飲み込む器であるとお話し致しました。
 この7×7×4,7 pの小さな焼き物に、どうして森羅万象すべての物が入るのか?
 突貫工事の胸突き八丁、物心両面苦しい台所状況ですが、このコーナーである程度ご説明せねば、「大和」航行上支障をきたしそうで、皆様に、この焼き物に秘めた驚異の秘密を、このコーナーでご説明致します。
 「大和」★(6)『完璧』で「寶」の“完璧の条件”を提示し、その条件@ABを易数位の「一」「五」「九」であると注釈いたしておきました。
 「一」即ち、天子・皇帝は天の子、天子であり、天下に一人です。
 神噐・太極「寶」は又、天下の覇者がもつ、“唯一”の「寶」です。
 「五」は「木火土金水」五行・五材の具現で「易」では皇帝の数位です。 古来より、皇帝の「龍」は▲五爪であり、印面中央は「五文字」です。
 五重塔の最上部は九輪の塔・九十九里浜は果てしない意味で、「九」は易数位、永遠・無限を現します。
 この完璧の条件「一」「五」「九」の数位がこの陶磁器のどこに秘めてあるのか?搭乗の皆様に果たしてお分かり戴けるか?
 勿論この奇跡の印文は「九文字」で・中央は「五文字」そして漢大宇宙、“究極の絶句”「一」であるが、それ以外、この完璧の数位、「一」「五」「九」の数位が、一体どこに具現されてあるのか?    
 もし、この「一」「五」「九」“完璧の数位”がこの陶磁器「寶」で具現されてあるとするなら、それは、方も円もそして森羅万象全てを印籠する事ができる「方円の器」であり、神の“道の具”神噐「完璧」です。
 果てしない道を振り返えるに、この様な謎を自分自身に突き付けた事自体、無我夢中、壮絶な無心の中での、まさに“突破”であった。

 話しを急ぐ。
 今、私に許された時間は限られている。
 ・・・。
 さて秦の始皇帝が天下統一を成し遂げた時、史上始めて全国統一の度量衡を定めた。
 度量衡とは、長さ・面積・衡(めかた)・量(かさ)の事である。
 度量衡は税金の徴収その他、国家運営上に不可欠のものである。
 そして時代により、その数値が僅かながら違う。
 神噐・太極「寶」制作を勅令した玄宗皇帝は、あの唐代“開元の治世”を断行した英明な天子です。
 度量衡を正したのは当然であります。、
 それでは神噐の数位「一」「五」「九」を計算し現します。
 印面四方は、天子・皇帝の天下で、無限大である。
 重ねて中華帝国の覇者、印面の国土は無限大である。
 唐代度量衡の長さを換算する数値は、1寸が3・11pである。
 四辺・皇帝の国土は7p×4辺=28pである。
 これを唐代寸法に換算するには28p÷3・11=9・0032154・・・・で九寸です。
 天下国土は無限大「九」数位です。
 それでは、高さ“天と地”を支配する数値を計算いたします。
 高さ4・7p÷3・11=1・511254・・。で“一寸・五分”です。 驚異の数値です。
 国土は永遠の「九」天地は「一」と「五」皇帝の数位です。
 重ねて、国土は無限大である事は勿論、天上天下全て天子皇帝の天下を示しております。驚異である。
 まさに「一」「五」「九」の完璧の数値が“具現”される。
 全て「0」コンマ・プラスである。
 「0」コンマ・プラスは、水の表面張力、国土豊潤の数値である。
 印台・天下にマイナスがあっては、天下は奪われた状態、そして印台に空洞があっては“もぬけの殻”です。
 その様な焼き物を奏上すれば、科は▲五族・九族におよびます。
 現代再現の可能性は、アメリカ・月面着陸・アポロ計画を遥かに上回る不可能の世界に突入するであろう。        
 石炭・石油などの化石燃料は、天の法則「五行」の「木」で、ノーであります。
 これ以上の詳しくは「寶」本を御覧下さい。
 何故、再現不可能か、何故、この様な小さな焼き物一つに24年の歳月を要したか。少しはお分かり戴けたと思います。
 しかし、「寶」本を御覧いただければ分かりますが、この焼き上げ不可能な方形のサイズの焼き物に、更に想像を絶する▲“不可能の条件”が義務付けられてありました。
 まさに不可能と奇跡は相乗して、この焼き物はさらに果てしない漢大宇宙に突入せねばなりませんでした。  
 高さ3m程の、九谷や伊万里の大壺でも、口回り、胴、高台は3・5p以上ある陶磁器は殆ど無い。
 しかもそれらは、円形である。
 方形は円形のお焼き物より困難である。
 3・5p以上1o増す事に、焼成困難度の放物線は、鰻昇りとなり、一気に不可能ラインを突破するであろう。
 現実に今貴方の目の前に提示されてある訳ですから、可能性「0」とは申しません。
 しかし世界中の陶工達が現代日本に集結し、「寶」の再現を試みたとしても不可能への挑戦であります。その挑戦は日本国土から燃料の木材は消え失せる結果を招くであろう。そして再現に要する総経費は天文学的数値を示すであろう。
 貴方はこの現実を、信じられるか?
 これでも、日本の学者の大多数が未だ、沈黙している。
 そして文化庁も動こうとはしない。
 神奈川県警・新潟県警の不祥事と同じく、歴史への怠慢と謗られても、致し方無い。
 日本の危機管理体制の欠如が叫ばれている。
 しかし▲文化的危機管理体制も欠如している事を全く自覚していない・・・。現下の大恐慌は学問の世界とて対岸の火事では無い・・・。
 バブルを背にして7年、約4万時間弱を走破してきたのも、その様な構造的問題への挑戦であった。
 経済戦争を共に戦って来た、戦友が今、バタバタと倒れて行く。
 最早、自助努力の限界を超えている。
 「寶」降臨は無責任なマスコミ、親方日の丸・天下り高級官僚、哲学無き銀行団“一人一人”に突き付けた“刃”である。
 大切な「大和」機関室の工事ですが、今日は気が乱れ修理がうまくいきません。
 夜も白々明けて来ました・・ここで2・3時間休むことに致します。
 各位のご賢察を願う次第です。

平成12年5月3日 4時40分