11・「黄帝」


 
  


 
 
神噐・太極「寶」の獅子伝説は道教開祖の「黄帝」に溯ります。

 さの「黄帝」は印文、「太上老君」老子をさらに溯る中国古代の聖帝で、本書に欠くべからざる道教の開祖です。

 太極とは漢大宇宙の全てが、この神噐「寶」に秘めてなくてはなりません。 「黄帝」が道教の聖帝なら、当然この「寶」に秘められてある筈です。
 したがって「寶」の秘密を解とき明かして行くには早期に紹介しておかなくてはなりません。

 そこで簡単に紹介させて戴きます。

 「黄帝」は太古の五帝の一人で紀元前2千5・6百年頃に約百年間、帝位にあり、姓は「公孫」「軒轅」と号す伝説の聖帝でした。

 広成子という仙人より多大な教えを授かり、その後公明正大な治世を行い、中国の医薬・文学・音楽・暦算などを創始した“有徳の帝王”として伝えられています。
 「黄帝」が昇天する時、天印の紐「獅子」に在る“顎鬚”と同じ髭を垂らした「龍」が天より迎えに来たといわれています。
 ところで「黄帝」の様な善政の時代、即ち“有徳の帝王”の時代に“言葉”を話す神獣「白澤」が現れるとされます。

 この「寶」創作を勅令した玄宗皇帝は、伝説の「黄帝」と自らをオ−バ−ラップし、“有徳の帝王”たらんと願ったのであります。
 『大漢和辞典』によれば、この「白澤」の名は“獅子”の異名とあります。 まさにこの紐の獅子は、この伝説の神の使いであり、守護獣「白澤」を創造したものではないかと考えられます。そして獅子の色である「白」の焼き上げは、この「白澤」の白・神の色です。また黄帝と同格の「老子」は仙人でありその象徴の色でもあります。
 さらに印面の色である黄色は「黄帝」の色・黄河・中華の色であり、この黄帝の史である▲「蒼頡」は史上最初に「文字」を考案したとも伝えられています。
 この文字神を祭る意味でも、神噐は「寶」の「印」でなくてはならなかったのです。
 「寶」は漢大宇宙“太極”です。
 獅子王に纏わる、古代の聖帝「黄帝」の登場です。


                    
平成12年4月13日